脳ドックについて
Dock(ドック)とは船の修理などを行う船渠(せんきょ)や波止場、埠頭などを意味する言葉です。かつて昭和50年代までは我が国の死因別死亡率の第1位は脳卒中(現在は悪性新生物)でした。日本では世界に先駆けて1988年より「脳ドック」が開設され、特に脳卒中の予防に重要な役割を担ってきました。その後徐々に脳卒中の死亡は減少しましたが、現在でも死因の第4位、寝たきり原因の第1位です(2018年)。さらに治療技術の進歩もありますが、何と言っても病気の予防や早期発見が重要です。人生の航海をする上で最も大切と言っても過言でない脳の健康診断を行うのが「脳ドック」と言えます。
また、特に近年社会的にも重要な課題となっている認知症の予防においても「脳ドック」は重要な役割を担っています。認知症の患者数は年々伸び続けており、2025年には65歳以上の方の5人に1人(約700万人)が罹患すると見込まれています。当院では高性能MRIを用いて、脳の断層写真や血管の画像だけでなく、脳の萎縮度なども評価可能です。また脳卒中や認知症にも関わってくる生活習慣病の評価を含め、一般的な健康診断も合わせて行うことができます。
参考:脳ドックのガイドライン2019
脳ドックの検査項目
- 血液検査
- 心電図検査
- 頚動脈エコー
- MRI、MRA検査
コース/項目/価格
コースとしては一般の健康診断的内容も含む「脳ドック」、脳・頚動脈に限定した「簡易脳ドック」があり、それぞれにオプションとして「認知機能検査」を加えることができます。
脳ドック 脳MRI、MRA、頚動脈エコー、頚椎レントゲン、心電図、血液検査、尿検査、結果説明等 |
45,000円 |
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簡易脳ドック 脳MRI、MRA、頚動脈エコー、結果説明等 |
30,000円 |
認知機能検査(オプション) HDS-R(認知機能評価スケール)、VSRAD(脳萎縮度判定), 結果説明等 |
5,000円 |
MRI
Magnetic Resonance Imaging(MRI):核磁気共鳴画像法は、磁場の中に生体が置かれた際に、弱い電磁波を照射し、生体に存在する水分子、たんぱく質、脂質などの水素原子核(プロトン)の核磁気共鳴現象を利用して生体内部を画像化する技術です。その基礎を築いたLauterberとMansfieldには2003年度ノーベル医学生理学賞が授与されました。特に脳に用いた場合、様々な撮影方法により、脳血管障害や脳腫瘍など脳疾患の診断に非常に有用です。
なお、MRIはX線検査やCT検査とは異なり、放射線被ばくがありません。また造影剤を用いなくても脳血管を正確に画像化することが出来ます。
但し、磁気を使用しますので、心臓ペースメーカーや除細動器を使用されている方、金属製の人工心臓弁を使用されている方、人工内耳を埋め込んでいる方、動脈瘤クリップを使用されている方(非磁性体のものはMRI検査可能)、材質が不明な金属(インプラント)が体内に入っている方などは行うことが出来ません。妊娠初期(4か月以内)の方もお控えください。
参考:脳神経外科学(金芳堂)
MRI検査を受ける際の留意点
- ピアスやヘアピンなどの金属類、補聴器、磁気カードなどは、検査に影響するおそれがありますので、必ず取り外しておいてください。
- アイシャドウやマニキュアなどの化粧品には金属を含むものがありますので、必ず事前に落としてください。
- 検査時間は、撮影部位や撮影方法によって前後しますが、概ね20~30分です。
- 検査中は、マイクを通じて検査スタッフなどと自由に会話できます。